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話題の「限りある時間の使い方」は読んでいて苦しい本だった

こんにちは。さりょうです!

今回は初の書籍紹介として、今話題になっている「限りある時間の使い方」を読んでみたので、紹介してみたいと思います!

この本はこんな方にオススメです

  • 日々時間に追われている方
  • 将来に不安を抱えている方

この本は人生設計において陥りがちな思考が書籍の中で複数紹介されていますが、
その中で自分に当てはまり過ぎて読んでいて苦しくなった箇所をピックアップし、ご紹介させていただきたいと思います!

忙しいことを望んでいる

みなさんは毎日忙しい日々を送っていますか?

忙しいと思っている方のほとんどは、もっと仕事を減らしたり、効率化したりしてなるべく人生に「ゆとり」をもたせたいと思っているのではないでしょうか。

わたしも同じく「ゆとり」を手に入れたいと思っていましたが、
著者はわたしたちが本当は忙しい事を自ら望んでいると複数の理由から主張しています。

理由1:苦痛で退屈を紛らわせたいと思っている

もしみなさんが一時的に暇になったとき、どのような過ごし方をしますか?

  • 特に欲しいものはないが、ショッピングモールにお出かけする
  • SNSやYouTubeなどを開いて時間を消費する
  • 自己投資のために勉強をする

のように暇を受け入れるのではなく、タスクで埋めようとしていないでしょうか?

著者はショーペンハウアーの「意志と表象としての世界」を引用し、次のように述べています。

あまりにも簡単に満足が得られてすぐに意志の対象がなくなってしまうような場合にも、虚しさと退屈がやってくる。ただ人として存在することが耐えがたい重荷となるのである。したがって人間とは、苦痛と退屈のあいだをつねに振り子のように揺れ動く生き物であるといえる

Quoted in Setiya, Midlife, 131.

理由2:体験に終わりはないため効率化のループにはまる

世の中には1人ではとても消費しきれない

  • 綺麗すぎる観光地
  • 美味しすぎるレストランや食べ物
  • 泣ける映画や感動する映画

など無数の体験があります。

全てを味わい尽くすことは出来ないとしても、後悔のある人生を送らないために、
なるべく多くの体験をしたいと考えている
人も少なくないはずです。

しかし著者はその望みこそが効率化の罠にハマってしまう一因だと述べています。

人は世界中のありったけの体験を味わい、人生を「生ききった」と感じたいと願う。ところが世界が提供してくれる体験の数は実質的に無限なので、どんなに頑張っても、人生の可能性を味わいつくしたという感覚を得ることはできない。むしろ、効率化の罠にどんどんハマってしまうのがオチだ。

引用:限りある時間の使い方 オリバー・バークマン

理由3:努力していれば完璧な人生になると思っている

このブログのご覧になっているみなさんは人生になにか不安を抱えていて、
よりよい人生にするために努力されている方も少なくないと思います。

努力したら今の現状が少しずつ良くなっていくのは間違いないと思いますが、
努力し続ければいつかなんの苦労も不安もない理想郷にたどり着けると思っていないでしょうか?

私自身が努力次第で理想郷にたどり着けると信じていました。

しかし、もし奇跡的にその理想郷にたどり着いたらどうなるでしょうか?

苦労も不安のない理想郷こそ、「退屈な世界」そのものではないでしょうか?

しばらくすると再び自らの手で苦痛を求め始めてしまうことでしょう。

そのため人生には完璧な理想郷は存在しないということを理解する必要があるのです。

対策:優先度「中」を捨てる

では、完璧な人生もなく、体験を一生のうちに味わい尽くせない中でどのように時間を過ごしていけば良いのでしょうか?

その疑問に対して、著者は優先度「中」を捨てるべきと主張しています。

メールや用事はどんどんやってくるし、そのうちの多くはまったく手がつけられないだろう。それでも、その不快感に耐えながら、本当に重要なことに集中するのだ。

引用:限りある時間の使い方 オリバー・バークマン

私自身は不快が無くなることはないという事実を、まだ受け入れきれていない気持ちがあります。

しかし、IT化や工業化で様々なモノやコトのクオリティが底上げされた現在において、
低品質なものはすでに淘汰されているでしょう。

そのため、そこそこ良いもので満たされた社会で優先度「中」を捨てる勇気は本当に大切だと実感しています。

人は未来が不確実なままであることを望んでいる

あなたはどんな将来を思い描いていますか?

  • 綺麗な人と結婚し、子供を育て、家族に見届けられながら最期を迎える
  • なにも持たずにバックパッカーで世界中を旅してさまざまな経験をする

など自分の人生に対して、様々な世界線の未来の自分が存在するでしょう。

著者はアンリ・ベルクソンの「時間と自由」という本を引用し、
人は未来の可能性を確定させずに想像でとどめておく理由を下記のように説明しています。

われわれが思いのままにする未来が、ひとしくほほえましく、ひとしく実現可能な、さまざまの形のもとに、同時にわれわれに対して現れるからである

引用:時間と自由 アンリ・ベルクソン

そして章の後半では思い切って多数の可能性から思い切ってひとつを選びとり、無限の可能性を排除する必要性を主張しています。

未来のため今を置き去りにしている

本の終盤になるにつれて著者をより鋭い切れ味でわたしの生き方を問い直してきます。

みなさんは娯楽を楽しむ時に娯楽自体を楽しめていますか?

わたしはかなり重症で、

  • 旅行は新しい発見を得るために行く
  • 昔の友達とは刺激を受けるために会う
  • スポーツをするにも将来の健康を意識する

など将来のために今を設計することが多く、
学生時代のように「ただ楽しいから遊ぶ」ということが本当に少なくなりました。

わたしと同じような方も少なくないはずです。

著者は未来のために今を過ごすことは「今」を「道具化」していると強く否定しています。

「今を生きよう」と言うとき、あなたは自分を「今」から切り離したうえで、今をうまく生きられたかどうかを判断しようとしている。つまり、これもまた、今この瞬間を何らかの目的に従わせようとする道具化のアプローチだ

引用:限りある時間の使い方 オリバー・バークマン

この話を聞いて思い出したのが、堀江貴文さんの近畿大学でのスピーチです。

堀江さんのスピーチは難しい言葉を使わずに、日本の現状等もふまえたスピーチですので見たことのない方は一度ご覧になることをおすすめします!

受け入れて次へ進む

著者はそもそも自分自身が宇宙の中心的存在と勘違いしているから達成不可能な目標や計画や目標を立ててしまうのではないかと説いています。

そして、終盤ではわたしたちは結局どのように行動していくのがなのかをシンプルな2つの言葉で示しています。

この選択は自分を小さくするか、それとも大きくするか?

James Hollis, What Matters Most: Living a More Considered Life (New York: Gotham, 2009), 13.

「次にすべきこと」を実行するのが、いつだって、自分にできる唯一のことだから

引用:限りある時間の使い方 オリバー・バークマン

さくっと感想:仏教的な要素も感じる

この本は手に取るまで、普通の効率よく日々を過ごすための時間術の本と思っていましたが、実際は時間術という付け焼き刃を否定している本でした。

とはいえ「時間術を活用するのを諦めてのんびり気ままに暮らしましょう」というスローライフのような本とは対照的に、空想上の無限の可能性ではなく、現実を直視して前に進むしか無いというとても生々しいリアルを提案をしてくれる本でした。

また、「苦しみからは逃れられない」や「今を生きるべき」と主張している点は
日本の禅や仏教・ミニマリズムに通ずる内容ではないかと感じました。

特になにか努力をしていて(しようとしていていて)日々を消耗している方にオススメの1冊だと思います!

おわりに

今回は初めてブログで書籍の紹介をしてみました。

今まで個人的に書いていた読書メモを全てバラバラにして、
ブログ用に再構築して記事を書いてみました。

この本自体は262ページの本のため、今回の記事で紹介できていない事が沢山あるため、
ぜひこの記事を読んで気になった方は、一度購入してみることをオススメします!

もしご質問・ご感想等ございましたら、このブログの上部にある「お問い合わせ」やTwitter等にご連絡いただけると嬉しいです!

それではまた!

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